猫の寿命は個体差や飼い主さんの育て方、環境にも左右されるものですが、はたして猫の柄や種類も影響するのでしょうか?
今回は、最新版の猫の平均寿命や長生きする猫の特徴、長寿猫のギネス記録についてご紹介します。
猫の平均寿命
令和4年「全国犬猫飼育実態調査」によると、2022年、ペットとして飼われている猫の平均寿命は15.62歳でした。
2010年の平均寿命は14.36歳でしたので、12年間でなんと1.26歳も寿命が延びているんですね!
ちなみに2022年の犬の平均寿命は14.76歳で、犬よりも猫の方が長生きする傾向があるようです。
・なぜ猫の平均寿命は延びているのか?
猫の平均寿命が延びた理由として、食事や健康管理方法・医療が発達したことも考えられますが、最も大きな理由の一つとして、室内飼いの猫が増えたことでしょう。
外に出る猫と外に出ない猫の平均寿命を見たところ、外に出る猫の平均寿命が14.24歳であるのに対して、外に出ない猫は、平均寿命が16.02歳と1.78歳も差があることが分かります。
室内飼いと外に出る猫でなぜこんなに差が出るのでしょうか?
それは、外には車などの事故に遭う危険性や、カラスや人間、他の野良猫などの外敵に襲われる危険性、また、ノミや寄生虫・ウイルスに感染する危険性など、猫にとっての脅威がたくさん待ち構えています。
このような脅威を避けることができる室内飼いの猫は、寿命を全うしやすいと言えるでしょう。
・メスの方が長生きって本当?
あらゆるデータで、オス猫よりメス猫の方が平均寿命が長い傾向があると言われていますが、去勢・避妊手術をしていればオス・メスの寿命に差はないとも言われています。
性別だけでは一概に判断できないようですね。
長生きする猫の種類や柄
猫の毛色や柄が寿命に影響するという調査結果はありませんが、「この柄の猫は丈夫で長生きする」、とまことしやかにささやかれているものもあります。
また、個体差はありますが、猫の種類によって、遺伝的に長寿であると言われる猫種が存在します。
そんな猫についてご紹介いたします。
①短毛の雑種
日本でペットとして飼われている猫の8割近くが雑種だそうですが、最も長生きする猫種も雑種だと言われています。
雑種猫の寿命が長い理由として、様々な血統が混ざり合っていくことで、強く免疫力の高い遺伝子が残っていくということがあります。
そのため雑種は、純血種にあるような特定の遺伝子疾患にかかることも少ないのです。
そして、長毛種より短毛種の方が長生きだと言われます。
それは、長毛種は毛が長いため、グルーミングの際に飲み込んだ毛がお腹の中にたまってしまう毛球症という病気になりやすかったり、モフモフの長い毛に包まれていることで高温多湿の日本の気候に適応しづらく、体調を崩しやすかったりすることが考えられます。
②キジトラ
日本にいる猫の柄で最も多いと言われるのがキジトラで、古くから日本に住み付いています。
また、リビアヤマネコというイエネコの祖先と同じ柄でもあり、とても野生的な性質が残っています。
その毛色は保護色にもなっており、野生で生きていくうえで体の強い種が、綿々と受け継がれてきたということなのですね。
日本の風土に適した丈夫な体質と言えるでしょう。
自然治癒力も高く、小さな怪我などは自力で直すことができ、大きな病気にかかりにくいという説もあります。
室温と湿度に気を付ければ、健康的に育ちますので、猫を初めて迎える人でも飼いやすいと言われますよ。
ただし、キジトラは野生に近く体が丈夫だからこそ、痛みや病気を隠しがちです。
「ちょっと変だな?」と思うような行動をしていたら、早めに病院で診てもらいましょうね。
③白黒
ハチワレ猫やタキシード猫、ぶち猫などのイメージがある白黒猫は、生命力が強いという説があります。
それはなぜでしょうか?
遺伝子によって毛色が決まるときに、茶色やオレンジ色などの色の付いた毛が生えるためには、遺伝子がきちんと働く必要があります。
つまり、何らかの原因で遺伝子が働かないときは、猫の毛色は白黒になる可能性が高くなります。
例えば、茶色の砂地が多いので保護色の茶色猫が生き延びやすい、とか人間の好みの色だから、という要因がなければ、毛の色は白黒になりやすいのです。
隔離された場所で猫を自由にすると、白黒猫が増えるんだとか。
そして、白黒猫の性格は、猫という種類を包括的にカバーすることもあり、臨機応変に対応するその性格が環境に適応しやすく、生命力が強いと言われるのかもしれませんね。
ちなみに、最高寿命のギネス記録を持つ猫はメスの白黒猫で、アメリカの家庭で飼われていたクリーム・パフさんです。
その記録は38歳と3日で、人の年齢に換算するとなんと170歳になるそうです!
④サビ
黒とオレンジ色のまだら模様をしたサビ猫は、その個性的な模様が人気です。
メスが多く、おしとやかな性格をしていて、長生きをしやすいとよく言われます。
また、何より体が丈夫で、ちょっと風邪気味かな?と思ったらすぐに治っていることもあるそうです。
なぜならサビ猫は、そのほとんどが野良猫出身の雑種の猫。
遊び好きで身体能力も高いのです。
野良猫出身の子は、外でたくましく生まれ育つために体が丈夫にできています。
さらに、サビ猫は「賢い」とよく言われます。
あまり無茶なイタズラをせず、羽目を外すようなことをしないため、危険な目に遭いにくいのかもしれませんね。
そして、今も存命の猫の中で最長寿猫は、イギリスに住むサビ猫のフロッシーさんです。
現在27歳だそうですよ。
⑤黒
昔から欧米では「不吉」と言われてきた黒猫ですが、日本では「福猫」と愛され、人気を得てきました。
そんな黒猫も、長生きなんだとか。
黒猫が長生きな理由として4つあげられます。
一つ目は、黒猫は都会で保護色になるということです。
キジトラ猫の場合は、野生で保護色となり、土の色と同化しますが、黒猫は、都会のビルの陰に隠れやすいため、都会に多いとの報告もあるほどです。
都会で生き残りやすい猫、というわけですね。
そして二つ目は、メラニン色素の量が多いと反射神経が良いというデータから、黒猫は運動神経が良いと言われます。
運動神経が良いと、危険を避けたり、運動不足による病気などを予防したりすることができるんですね。
三つ目は、メラニン色素が嗅覚の良さにも影響するということで、黒猫も他の猫より嗅覚が鋭いという説があります。
ニオイに敏感なため、腐ったものや食べてはいけないものを嗅ぎ分ける力に長けているそうです。
さらに四つ目は、その性格です。
黒猫は見た目の印象とは違い、大らかでフレンドリーな性格をしています。
そのため、猫にとって万病のもととも言われるストレスを溜めにくいのです。
つまり、黒猫は、精神的にも肉体的にも健康的で、環境面でも外敵から守られやすいというわけですね。
まとめ
とはいえ、人間がそれぞれ違うように、猫も1匹1匹性格も年の取り方も違います。
もっと猫のことを理解して、できる限り食事・環境・病気などに注意を払い、1日でも長く元気に生きてもらえるように心がけたいですね。
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