猫好きでも知らない!キジトラ猫の面白い9つのトリビア

猫の毛柄の種類
Young cat isolated on white background

猫といえばキジトラではないかと思うほど、キジトラはよく見られる猫の柄です。
そんなキジトラ猫にも、多くの驚くべき真実がありました。

キジトラ猫の面白トリビア 9選

①猫はもともとキジトラ柄しかいなかった

大昔、猫(イエネコ)がまだ野生猫だった頃、キジトラ柄の猫しかいませんでした。
つまり、キジトラはすべての猫の起源の柄なのです。

それは、イエネコの祖先がアフリカ北部や中近東などに生息しているヤマネコの亜種「リビアヤマネコ」だからです。
リビアヤマネコの毛色や模様が、こげ茶色に黒の縞模様であり、つまりキジトラ柄というわけですね。

ちなみにリビアヤマネコやその仲間であるヤマネコは、すべてキジトラと同じような柄をしています。

その後、古代エジプトでイエネコが広まったと言われています。

古代エジプトでは、宗教的な儀式や習慣により猫がミイラ化して埋葬されていますが、紀元前4000年頃に埋葬された猫のミイラを調査したところ、いずれもイエネコの祖先であるリビアヤマネコと同じような模様をしていました。

こうしたことから、大昔の猫はほとんどキジトラ柄であったと考えられますが、時には突然変異によって異なる毛色や模様の猫も生まれていたようです。
しかし、キジトラ以外の猫は生き残るのが難しかったと考えられます。
それは、リビアヤマネコの生息地域でもある砂漠やサバンナなどでは、キジトラ柄が最も見つかりにくい保護色となっており、それ以外の猫は外敵に見つかりやすいからです。

ではなぜ、キジトラ柄以外の猫が存在するようになったのかというと、それは猫が人に飼育されるようになったためと考えられます。
猫がペットとして人に守られるようになったことで、キジトラ以外の猫も生き残られるようになり、毛色や柄が段々と多様化していきました。

今から1300年ほど前の奈良時代に、日本に渡ってきた猫もキジトラと言われています。
中国から仏教の経典などを輸入した時に、大切な書物をネズミから守るために猫が一緒に輸入されたそうです。
しかし2011年に長崎県のカラカミ遺跡からも、1世紀~3世紀に飼育されていたイエネコの骨が発見されたので、もっと早い時期から日本にキジトラ柄の猫がいたかもしれませんね。

②様々な呼び名とその由来

キジトラのキジは、鳥の雉(メス)に毛色や模様が似ているところからきています。
そして、トラのような柄をもつため、キジトラ猫と呼ばれるのですね。

鳥のキジはあまり馴染みがないため、模様がパッと浮かぶ方は多くないかもしれません。
ですが、日本に猫がやってきた頃は、キジはポピュラーだったため、キジトラを見た人々がキジトラという言葉を思いついたのでしょう。

他にも、キジトラは「キジ猫」や「よもぎ猫」、「藤猫」と呼ばれることがあります。

「よもぎ猫」の由来は、黒・茶色・灰色・褐色と四つの色の毛が混じっていることから「四毛猫」と書いて、それが「よも猫」と呼ばれるようになり、やがて訛って「よもぎ猫」になったようです。
これは三種類の毛色を持つ猫を「三毛猫」と呼ぶのと同じ発想ですね。
「藤猫」の由来については、はっきりしませんが、額のMの模様が富士山のように見えるためではないかという説があります。

それにしても、これだけ沢山の呼び名があるということは、昔から日本で愛されてきたことが分かりますね。

では、英語でキジトラは何というのでしょうか?
それは「ブラウン・マッカレルタビー」です。
マッカレル(Mackerel)とは英語で魚のサバという意味で、タビー(Tabby)とは、しま模様の猫のことです。

模様がサバに似ていて、複数の色が混じっている毛色であるため、そう名付けられたそうですが、日本ではシルバーの毛色に黒いしま模様の猫のことをサバトラ猫と呼ぶため、まぎらわしいですね。
ちなみにサバトラ猫は、英語で「シルバー・マッカレルタビー」となります。

③サバトラと間違えられやすい

キジトラ猫とサバトラ猫は見間違えられやすいとよく言われます。
キジトラとサバトラの大きな違いはベースカラーです。
どちらも同じような黒いしま模様をしていますが、キジトラはベースカラーが茶色であるのに対して、サバトラのベースカラーは銀色となっています。
それこそ、色味が魚のサバに似ているため、日本ではこの名前になったのですね。

キジトラと比べると、日本での歴史はまだ浅く、日本の猫と洋猫との交配により、ここ50〜60年ほどで増加してきたそうです。

キジなのかサバなのか、見分けづらいこともありますが、猫にとってはどうでもいいことかもしれませんね。

④模様の呼び名が部位ごとにある

キジトラ猫の模様は、部分的にも名称があります。

まず、前脚に入るリング状の縞模様はブレスレットといい、首周りに入るリング状の縞はネックレス、しっぽに入るとテールリングといいます。
まるでアクセサリーのようで、素敵な呼び名ですね。

また、背骨に沿って入る太い線はスピンラインといいます。

さらに、個性的で面白いのは、お腹にある、縞が途切れて斑点になっている部分。
まるでヒョウ柄ドットのようですが、ベストボタンとも呼ばれます。

それから、キジトラの顔の模様の特徴には大きく分けて2つあり、1つ目は、額にM字の模様があること、2つ目は、目尻にクレオパトララインと呼ばれる綺麗な黒いアイラインが入っていることです。

1つ目の額のM字は、リビアヤマネコの額にある4本の縦線が、次第にMの形になっていったとされています。
しかし、これにはさまざまな逸話もあり、キリストが産まれたとき、そばで温めてくれた猫に聖母マリアが額にイニシャルを刻んだという説や、毒蛇に襲われそうになったムハンマドを猫が助け、その功績としてこのマークが授けられたという説があります。
さらに、このM字には「スカラベマーク」という別名もあります。
スカラベとは、フンコロガシのこと。
なぜフンコロガシ?と思ってしまいますが、古代エジプトではフンコロガシを復活と創造のシンボルとしていたそうです。

そして、2つ目のクレオパトラライン。
この目尻から頬にかけて伸びているラインはとても美しいと思いませんか?
なぜクレオパトララインと呼ばれるのかというと、クレオパトラ自身が猫の目尻のラインに魅了され、真似るようにしてメイクをし始めたためだと言われています。
確かに、クレオパトラの肖像には、どれを見てもこのラインが描かれていますね。

脚や首にはアクセサリー、胸元にはボタン、目元にはアイラインと、キジトラ柄はとてもオシャレな柄だったんですね。

⑤毛の1本1本にしま模様がある

キジトラ猫の毛は、1本1本にしま模様が入っており、この配色により、トラ柄に見えています。
しま模様の毛のことをアグチ毛といい、例えば、先端から根元にかけて黒・茶・黒のしま模様になっていたり、違う配色になっていたりします。

つまり、トラ柄の猫は、すべてこのアグチ毛を持っているのです。

⑥同じキジトラでもさまざまな色味がある

同じキジトラでも、よく見ると色味が異なっていたりします。

その中でも黒っぽくて縞模様も濃い猫を、「黒キジ」と呼び、茶色っぽく縞模様が薄い猫は「黄キジ」と呼ぶことがあります。

また、キジトラに毛色を淡くする遺伝子が入ると、灰色がかったパステル色のキジトラ柄になり、「ブルータビー」と呼ばれたりします。

それから、キジトラに茶トラのようなオレンジ色の毛色が混ざると「麦わら猫」と言ったり、シャム猫のようなポイント柄にキジ柄がミックスされると「シャムキジ」や「シャムトラ」と言ったりして、別の猫柄にも派生していくのです。

他にも、キジトラ柄に白が混ざっている「キジトラ白(キジ白)」もいますね。
ちなみに白い毛は、白斑遺伝子と言い、野生動物が家畜化することで増えるのだそうです。
つまり、野生的なキジトラ柄に、白の割合が増えるほど穏やかになる傾向が見られるのだとか。

猫のルーツというだけあって、色々な柄のタイプに派生し、バリエーションが豊富なんですね。

⑦体が丈夫

キジトラは元々、野生猫のルーツとなる毛柄であることはすでにお話ししましたよね。
その毛色は保護色にもなっているため、野生で生きていくうえで体の強い種が、綿々と受け継がれ、日本の風土に適した丈夫な体質ができたのではないでしょうか。
自然治癒力も高く、小さなケガなどは自力で直すことができ、大きな病気にかかりにくいという説もありますよ。

ちなみに、記録にある日本で最高齢の猫は、36歳まで生きた「よも子」だと言われています。
昭和10年に青森県の岡田さん宅で飼われていた短毛の猫で、トラ柄だったという記録がありますので、おそらくキジトラ猫ではないでしょうか。
特別な餌を与えられていたわけでもなく、人の残飯を食べながら36年間生きたというのですから驚きですね。

36才だという証拠がないことからギネスにのることはできなかったようですが、上野動物園に呼ばれ、最高齢の長寿猫として表彰されたそうです。

⑧日本に一番多い猫の柄

キジトラは、日本の猫の中でも特に多い毛柄で、飼育頭数が日本一だと言われます。

日本には黒猫や三毛猫なども存在しますが、イエネコの元祖がキジトラ柄で、しかも日本に早い時期から住み着き繁殖を繰り返し、体が丈夫で日本の風土に合っていったため、今でも頭数が多いのでしょう。
キジトラは「ザ・日本の猫」というわけですね。

ちなみにヨーロッパでは、キジトラ柄よりも、マーブル模様のクラシックタビーという柄が多いそうです。

イギリスでは雑種猫の8割がこの柄なんだとか。
色は同じでもちょっと模様が違うんですね。

⑨野生的な反面、心を許すとデレデレに

キジトラは、性格的に縄張り意識が強く、飼い主以外の人間に対しては用心深くて警戒心が強いといった傾向があります。
もともと野生猫の柄だったため、そのときの名残を思わせる行動が多いのですね。
それは、運動能力が高く遊び方もワイルド、といったようなところに見られます。
そのため、おもちゃ遊びに誘うと積極的に飛びついてきてくれ、 本能むき出しで遊ぶ様子が見られますよ。

警戒心から 初めから仲良くなるのは難しいかもしれませんが、飼い主など心を許した人にはとても甘えん坊で、無防備になってしまうようです。
キジトラ猫は、仲良くなった時のギャップが魅力ですね。
もちろん猫の性格は育ってきた環境も影響しますので、中には最初から人懐っこいキジトラ猫もいるでしょう。

まとめ・・・動画で観る

キジトラは、古くから人間と共に生きてきた、歴史のある猫なんですね。

現在はのんびりとお腹を出して寝ているキジトラたちも、祖先譲りの狩りの腕前を持っているのではないでしょうか。
たくさん遊んでたくさん甘えさせてあげましょうね♪

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